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ジャングリア沖縄は大赤字なのか?開業後の収支構造をわかりやすく解説

沖縄北部のやんばるの森に囲まれたテーマパークの全景と、夕暮れの空 ジャングリア沖縄
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ジャングリア沖縄の親会社は、開業後初めての決算(2026年6月期)で約173億円の最終赤字を出しました。パークの営業は続いており、閉園の発表はありません。

専門家は、赤字の多くが開業時の巨額投資による費用だと指摘しています。一方で、173億円の詳しい内訳は、報道の範囲では公表されていません。

この記事では「ジャングリア沖縄 赤字」について、決算の数字、赤字の理由、来場者数、スポンサー探し、閉園の心配があるかどうかを順番にご説明します。

ジャングリア沖縄の173億円赤字とは?決算で何が発表されたのか

約173億円の赤字を出したのは、パークの運営会社ではなく、その上にある親会社(持株会社)です。

2026年9月25日、運営会社「ジャパンエンターテイメント」の親会社「ジャパンエンターテイメントホールディングス(JEHD)」が、那覇市内で株主総会を開きました。

そこで報告された2026年6月期の決算は、約173億円の最終赤字でした。運営会社のジャパンエンターテイメント単体でも、89億円あまりの最終赤字だったと報じられています。

運営会社は、開業前の2025年6月期にも約51億円の最終赤字を出していました。2期続けての赤字で、赤字の幅は約1.7倍に広がったことになります。

報道によると、今後の主な対応は次の3つです。

  • 政府系金融機関の沖縄振興開発金融公庫が、新たに30億円のつなぎ融資を行う
  • 経営の立て直しを一緒に進める新しいスポンサーを探し始める
  • 事業計画を見直し、運営や設備をてこ入れする

JEHDの加藤健史代表取締役CEOは、お客様へのサービスや取引先との契約に影響は出ず、これまでどおり運営を続けるという趣旨のコメントを出しています。

来園を予定している方にとっては、ここがいちばん気になるところだと思います。現時点でパークの営業は続いていて、チケットや予約が急に使えなくなるといった発表はありません。


ジャングリア沖縄とは?開業から初めての決算までの流れ

ジャングリア沖縄は、2025年7月に開業した大型テーマパークです。沖縄本島北部の今帰仁村(なきじんそん)と名護市にまたがる、約60ヘクタールの土地にあります。

世界自然遺産に登録された「やんばる」の森を活かしたパークで、恐竜をテーマにしたアトラクションや、温泉施設(スパ)があります。

開発を主導したのは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の再建で知られる森岡毅氏が率いるマーケティング会社「刀(かたな)」です。開業前から「沖縄観光の切り札」として注目を集めていました。

今回の決算は、2025年7月から2026年6月までの、ほぼ開業1年目にあたる期間の結果です。つまり、パークの「初年度の成績表」と言えます。


700億円の事業費はどう集めた?ジャングリア沖縄の資金の仕組み

ジャングリア沖縄の総事業費は、出資と借入金を合わせて約700億円です。半分ほどを株主から集めたお金(出資)、残りの半分を金融機関からの借入金でまかなった形です。

出資は返す必要のないお金ですが、借入金は利息をつけて返していかなければなりません。この違いが、あとで出てくる「資金繰り」の話につながります。

経済記者の解説を伝えた報道によると、資金集めの流れは次のとおりでした。

  • メガバンク3行は融資を見送った
  • 商工中金が融資団の主幹事となり、その助言で国家戦略特区の認定を受けた
  • 13の民間金融機関から366億円の融資を受けた
  • 刀、オリオンビール、リウボウといった地元企業などから、約350億円の出資を集めた

この投資額は、大型の郊外ショッピングモール約3つ分に当たると説明されています。

ゼロから大型テーマパークをつくった経験がない事業計画だったため、金融機関の中には当初から不安視する声もあったといいます。メガバンクが融資を見送ったという事実は、計画の段階からリスクが大きいと見られていたことを表していると思います。

※画像はAIによるイメージ

ジャングリア沖縄の来場者数は100万人。なぜ赤字になった?収支構造を解説

ここがこの記事でいちばん大切なところです。「来場者が100万人いたのに、どうして赤字なの?」という疑問に、順番にお答えします。

主な原因は3つの費用

報道によると、赤字の主な原因は減価償却費、開業前のプロモーション費用、持株会社での減損の3つです。

  • 減価償却費:700億円規模でつくった施設の費用を、何年にも分けて毎年少しずつ「費用」として計上するものです
  • 開業前のプロモーション費用:開業に向けた広告や宣伝にかかったお金です
  • 減損:施設などが「思っていたほど稼げない」と見込まれたとき、帳簿の上でその価値を引き下げる処理です。持株会社のJEHDで大きく計上されたと伝えられています

173億円の内訳は公表されていない

運営会社の赤字は約89億円、親会社では約173億円です。この差の約84億円には、持株会社で計上された減損などが含まれていると考えられます。

ただし、減損がいくらだったのか、減価償却費や営業損益がいくらだったのかといった細かな内訳は、報道の範囲では公表されていません。そのため、この記事でも内訳の金額は推測で書かないようにしています。

数字でまとめると

報道などで伝えられている主な数字を、表にまとめました。

項目数字時期・対象出どころ
総事業費約700億円開業まで報道
金融機関からの融資366億円13の民間金融機関報道
出資金約350億円刀・地元企業など報道
来場者数約100万人(スパ含む)開業から1年運営会社の発表
損益分岐点/当初目標100万人/150万人開業時の計画報道
売上高100億円超の見通し開業から1年運営会社の発表
運営会社の最終赤字約51億円2025年6月期報道
運営会社の最終赤字89億円あまり2026年6月期株主総会の報道
親会社JEHDの最終赤字約173億円2026年6月期株主総会の報道
沖縄公庫のつなぎ融資30億円2026年9月発表報道
県内への経済波及効果494億円開業から1年りゅうぎん総合研究所の試算

「損益分岐点を超えたのに赤字」をどう読むか

報道では、開業時の損益分岐点は来場者100万人、当初の目標は150万人とされていました。損益分岐点とは、黒字と赤字のちょうど境目になる数字のことです。

実際の来場者は約100万人でした。数字だけ見ると最低ラインは超えているのに、運営会社は89億円の赤字です。ここには、次の2つの読み方ができると私は考えています。

1つめは、「100万人」という分岐点が、どの段階の利益の話なのかという点です。日々の運営で赤字にならないラインが100万人だったとしても、そこに減価償却費や開業前の宣伝費を加えると、最終的な損益は大きく赤字になりえます。分岐点の定義は公表されていないため断定はできませんが、「運営の分岐点」と「最終損益の分岐点」は別ものだと考えると、数字の食い違いが理解しやすくなります。

2つめは、客単価(1人あたりの売上)です。売上高100億円超を来場者約100万人で割ると、1人あたりはおおよそ1万円強になります。スパの利用者も含んだ単純な割り算なので目安にすぎませんが、計画で見込んでいた単価に届いていたかどうかが気になるところです。

別の報道では、来場が当初計画を下回り、割安なチケットを出して集客を支えたとも伝えられています。人数は確保できても、割引によって1人あたりの売上が下がれば、同じ100万人でも稼ぐ力は弱くなります。

「人数は分岐点、単価は計画以下」という状態だったのではないか、というのが私の見立てです。

「帳簿の赤字」と「手元のお金」は同じではない

減価償却や減損は、その年に同じ額の現金が出ていく費用ではありません。そのため、赤字の数字が大きくても、そのまますぐにお金が尽きるわけではありません。

経済ジャーナリストの松崎隆司氏も、赤字の多くは巨額の先行投資によるもので、今すぐ債務超過(借金が資産を上回ること)になっているわけではないと説明しています。そのうえで、ジャングリア沖縄がすぐになくなることはないだろうと話しています。

ただし、借入金の返済や日々の運営費は、帳簿の赤字とは別に毎月かかります。沖縄公庫の30億円は「つなぎ融資」、つまり次の手を打つまでの資金を支えるお金です。

「帳簿上の大赤字」と「手元資金の不安」という2つの課題を、同時に抱えている状態だと整理できます。


ジャングリア沖縄は失敗なのか?経済波及効果494億円の意味

決算の発表を受けて、SNSでは「やはり失敗だったのでは」という声も広がりました。ただ、パーク単体の損益だけでは見えない数字もあります。

りゅうぎん総合研究所の試算では、開業から1年間の沖縄県内への経済波及効果は494億円でした。経済波及効果とは、パークでの支出をきっかけに、宿泊、交通、飲食、農業などの周りの産業に広がったお金の動きのことです。

同じ研究所は、ほかの観光コンテンツについても試算を出しています。

  • 2025年のプロ野球春季キャンプ:224億2100万円
  • クルーズ船観光:161億300万円

数字だけを並べると、ジャングリア沖縄は2倍以上になります。ただし、春季キャンプは約1か月の期間限定の催しで、試算の対象期間や範囲がそれぞれ違います。単純な優劣ではなく、「沖縄の代表的な集客コンテンツと並ぶ規模の効果が出た」と受け止めるのが適切だと思います。

もともとジャングリア沖縄には、観光客を沖縄北部に呼び込み、泊まってもらうという狙いがありました。沖縄では那覇などの南部に泊まり、北部の沖縄美ら海水族館などへは日帰りで行く観光客が多いといわれてきたからです。

実際に訪れたWAmazing代表の加藤史子さんは、スタッフの約7割が県内雇用、料理の食材も約7割が県内産だと紹介しています。

「運営会社は赤字、地域経済にはプラス」という2つの顔は、分けて見る必要があります。どちらか一方だけを取り上げると、実態を見誤りやすいと感じます。

※画像はAIによるイメージ

ジャングリア沖縄の赤字への反応と課題(アクセス・アトラクション数)

今回のニュースへの反応は、大きく2つに分かれています。

1つめは、厳しい見方です。初年度から大きな赤字を出したことで、経営責任を問う声や、事業計画の見直しは避けられないという指摘があります。なお、報道の範囲では、森岡氏本人による決算への詳しいコメントは確認できていません。

刀が手がけたお台場のテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」が、2026年2月末で営業を終えたことも、心配される理由の一つになっています。

2つめは、応援する見方です。地元の金融機関である琉球銀行が、地域振興のために追加融資に応じる姿勢を示したと報じられています。ただし、金額や時期などの詳しい条件は、報道の範囲では明らかになっていません。

来園した方からは、次のような課題も挙がっています。

  • アトラクションの数がまだ多くなく、何日も通うにはコンテンツが足りないおそれがある
  • 那覇空港から車で約2時間かかり、アクセスが大きなハンデになっている

一方で、一部の報道では約3万円とされる、待ち時間を減らせる高価格のパスも話題になりました。割安チケットで人数を集めつつ、高価格商品で単価を上げるという2つの方向を同時に進めてきたことが分かります。券種や価格は変わることがあるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。


考察:スポンサー探しと閉園リスク、ジャングリア沖縄の今後

ここからは、長くテーマパークを取材・研究してきた筆者としての私見です。

他のテーマパークの初期と比べると、深刻度はどのくらい?

大型テーマパークが開業後に苦しむのは、めずらしいことではありません。いくつかの前例と比べてみます。

  • USJ:2001年の開業初年度に1000万人を超える来場者を集めましたが、その後は来場者が伸び悩みました。2010年に森岡氏らが加わり、新エリアの開発などでV字回復したことはよく知られています
  • ハウステンボス:1992年に長崎県で開業しましたが、巨額の投資が重荷となり、2003年に会社更生法の適用を申請しました。2010年からHISの支援を受けて再建が進みました
  • レゴランド・ジャパン:2017年に名古屋市で開業し、初期には入場料の高さや集客の弱さが話題になりました。その後、ホテルの開業などで滞在型への転換を進めています

この3つと比べると、ジャングリア沖縄は「開業直後の失速」ではなく「初年度から計画に届かなかった」という点で、スタートの厳しさがあります。

ただ、ハウステンボスのように経営破綻に至った段階ではありません。沖縄公庫の追加融資や、金融機関の支援姿勢が示されていることを考えると、私は「再建型の前例に近い入口に立っている」と見ています。

興味深いのは、USJを立て直した森岡氏が、今度は立て直される側のパークを率いていることです。USJ再建の経験がどこまで活きるかは、業界全体にとっても大きな試金石になると思います。

カギを握るのは「スポンサー」と「大和の判断」

松崎氏は、刀の出資分は大和証券グループ本社が刀に出資した資金などから出ているとし、今後のカギは大和の判断にあると指摘しています。

株主総会では、新しいスポンサー探しを始める方針も示されました。スポンサーの顔ぶれは、現時点では明らかになっていません。

私見ですが、どんな業種の会社が加わるかで、パークの方向性は大きく変わると考えています。

  • 旅行会社・航空会社:航空券やホテルとのセット販売で、那覇からの距離というハンデを「旅程の一部」に変えられる可能性があります
  • 交通・不動産会社:北部へのバス路線や、周辺の宿泊施設の開発が進めば、滞在型のパークに近づきます
  • エンターテインメント企業:人気作品とのコラボや新アトラクションの投入で、リピーターを増やす方向が考えられます

ハウステンボスがHISのもとで再建された例を見ると、観光の送客力を持つ会社との組み合わせは相性が良いのではないかと私は感じています。

イマーシブ・フォート東京の閉館は何を意味するか

刀は、東京のイマーシブ・フォート東京の営業を終え、沖縄でも大きな赤字を抱えています。刀全体として、これまでより慎重な投資判断を迫られる局面に入ったと言えそうです。

一方で、東京の施設を閉じたことで、経営の力をジャングリア沖縄に集中しやすくなったという見方もできます。どちらに転ぶかは、今後の事業計画の見直しの中身を見て判断する必要があると思います。

来園する側から見た「立て直しのヒント」

テーマパークを利用者目線で見てきた立場から、立て直しのポイントを3つ挙げます。

  • アトラクションの追加:何度でも来たくなる理由を増やし、リピーターをつくること
  • 北部観光との組み合わせ:美ら海水族館などと合わせた1泊2日のモデルコースを広めること
  • 暑さ・待ち時間対策:新アトラクションや暑さ対策の拡充は、すでに発表されています

特に大切なのは2つめだと私は考えています。経済波及効果494億円という数字は、パークが「やんばる旅行の目的地の一つ」として働いたときに、地域全体の価値が高まることを示しているからです。

閉園リスクはどう見ればよいか

現時点では、閉園を示す発表はありません。専門家も、今すぐ債務超過になっているわけではないと説明しています。

ただ、2期連続の赤字で、しかも赤字幅が広がっていることは事実です。私は、スポンサーが決まり、見直した事業計画が示されるまでの期間が、本当の意味での正念場になると見ています。


まとめ:ジャングリア沖縄の赤字の中身と今後

ジャングリア沖縄の親会社JEHDは、2026年6月期に約173億円の最終赤字を出しました。運営会社も2期連続の赤字です。

主な原因は、減価償却費、開業前の宣伝費、持株会社での減損と報じられていますが、細かな内訳は公表されていません。来場者は損益分岐点とされた100万人前後で、割安チケットによる単価の低下も響いたと考えられます。

一方で、県内への経済波及効果は494億円と試算されています。パークは沖縄公庫のつなぎ融資を受けながら営業を続け、新しいスポンサー探しを進める段階に入りました。


よくある質問

ジャングリア沖縄はすぐに閉園するのですか?

現時点で閉園の発表はありません。JEHDのCEOは運営を続けるとコメントしています。

購入済みのチケットや予約はそのまま使えますか?

JEHDは、お客様へのサービスに影響は出ないという趣旨の説明をしています。券種や営業時間は変わることがあるため、来園前に公式サイトで最新の情報をご確認ください。

新しいスポンサーはいつ、どこに決まるのですか?

株主総会でスポンサー探しを始める方針が示された段階で、時期や候補の企業は報道の範囲では明らかになっていません。

※営業時間やチケット料金、サービス内容は変わることがあります。お出かけ前に公式サイトで最新の情報をご確認ください。

文:夢咲 未来(テーマパークライター)