ジャングリア沖縄は赤字経営って本当?噂の真相を検証

沖縄本島北部のジャングルに囲まれたテーマパークの入り口を、期待に胸を膨らませながら見上げる家族連れの後ろ姿 ジャングリア沖縄

結論から申し上げますと、ジャングリア沖縄が「赤字経営」であると断定できる公式な決算情報は、現時点では確認されておりません。

一方で、開業1年の来場者数は森岡毅氏が掲げていた採算ラインにまだ届いていないとされ、今がまさに正念場だと言えそうです。

こんにちは、テーマパークライターの夢咲未来と申します。

2025年7月25日に沖縄本島北部・今帰仁村に開業した「ジャングリア沖縄」。

総事業費700億円という壮大なプロジェクトを、USJをV字回復させたことで知られる森岡毅氏率いる株式会社刀が手がけたということで、開業前から大きな話題となりました。

その一方で、ネットの検索窓には「ジャングリア沖縄 赤字」という言葉を打ち込む方が少なくないようです。

今回は、そうした噂の真相を、公開されている情報をもとに時系列を整理しながら丁寧に検証してまいります。

ジャングリア沖縄が「赤字」と噂される理由とは?

まず、なぜこのような噂が広がったのか、その背景から見ていきましょう。

一つには、チケット価格の高さがあります。

ジャングリア沖縄の大人1Dayチケットは6,930円(税込)です。

近隣のベンチマーク施設とされる「沖縄美ら海水族館」の大人料金2,180円(税込)と比較すると、3倍以上の開きがあります。

これほど強気な価格設定をしているのだから、集客が苦戦すれば赤字になるのではないか、という推測が生まれやすい状況だったと考えられます。

もう一つは、開業前後に見られた「建設コスト高騰によるアトラクション削減」の報道です。

当初700億円で計画されていた事業費に対し、建築コストの上昇があったとされ、一部アトラクションの調整があったという声も出ていました。

予算に関する不安要素が、経営そのものへの不安と結びつきやすかったのでしょう。

さらに、開業直後の口コミの中には「平日はガラガラだった」といった感想も見られ、こうした声がSNSなどで広がったことも、噂を後押しした一因と思われます。

このように、噂の背景には「高い価格設定」「コスト増加の報道」「平日集客に関する口コミ」という3つの要素が重なり合っていたようです。


「ガラガラ」報道の実態、クチコミから見えること

実際のクチコミを見てみますと、印象は一様ではありません。

「平日は空いていて快適だった」「思ったより並ばずに楽しめた」というポジティブな声がある一方で、「休日は混雑していた」「キャパシティオーバーで入場制限があった」という声も見受けられます。

つまり、単純に「いつもガラガラ」というわけではなく、平日と休日、時期によって集客状況に差があるというのが実情のようです。

※画像はAIによるイメージ

これはテーマパーク業界全体に見られる傾向でもあり、ジャングリア沖縄に限った特別な現象とは言い切れません。

とはいえ、新規開業のテーマパークにとって平日の集客をいかに底上げするかは、経営の安定性を左右する重要なテーマであることは間違いなさそうです。


開業半年間の経済効果データ、いつ・誰が発表したのか

噂の真相に迫るためには、感覚的な口コミだけでなく、客観的なデータにも目を向けることが大切です。

まず時系列を整理しておきましょう。

ジャングリア沖縄は2025年7月25日に開業しました。

その約半年後にあたる2026年1月末までの来場動向をまとめたレポートを、琉球銀行系のシンクタンクであるりゅうぎん総合研究所が2026年6月に公表しています。

このレポートによりますと、開業から半年間でジャングリアが沖縄にもたらした経済効果は322億円と算出されています。

経済波及効果の倍率は1.63倍とされ、県内の幅広い産業に恩恵をもたらしていることが示されました。

また同レポートでは、ジャングリア開業後に沖縄本島北部への来訪者数が大幅に増加したこと、そしてジャングリアの来場者が訪問後に北部エリアを周遊している様子も確認されたとのことです。

なお、この322億円という数字は、あくまで「開業から半年間」の実績であり、後述する「開業1年・来場者100万人」というデータとは対象期間が異なる点にご注意ください。

さらに、沖縄県文化観光スポーツ部がまとめた観光統計によれば、2025年度の沖縄県入域観光客数は1,093万人と過去最高を更新しており、観光収入も1兆円規模に乗ることがほぼ確実な情勢だと報告されています。

沖縄観光全体が堅調に推移する中で、ジャングリアもその一翼を担っている様子がうかがえます。

これらの数字を見る限り、「地域経済に貢献できていない」「まったく人が来ていない」といった意味での赤字イメージとは、少し異なる実態が浮かび上がってきます。


融資・株主構成から見る資金面の体制

資金調達の面にも触れておきましょう。

ジャングリアの運営会社は2018年、株式会社刀のほか、森岡氏の呼びかけに応じた沖縄のオリオンビールやリウボウなど地元企業の共同出資によって設立されました。

株主数の約7割を地元企業が占めているとされています。

資金面では琉球銀行などが協調融資の幹事を務めました。

沖縄銀行を含む計13の金融機関が、総事業費700億円の半分にあたる366億円を融資したと報じられています。

琉球銀行の川上康会長は「採算が取れると確信して関わることを決めた」とコメントしたと伝えられています。

地元の金融機関が事業性を精査したうえで融資を実行したことがうかがえます。

地域経済発展への期待も込められた、地元一体型のプロジェクトであるという点は、単なる一企業の投機的な事業とは性質が異なると言えそうです。

※画像はAIによるイメージ

開業1周年、来場者数100万人が意味するもの

開業から約1年が経過した2026年7月時点で、来場者数は100万人程度に達したという実績が報じられています。

森岡毅氏はかねて「年間150万〜200万人の来場者数が訪れれば、十分に採算が取れる」と発言していたとされています。

この目標値と照らし合わせると、初年度の実績はまだ届いていない水準にあるとも読み取れます。

ただし、これはあくまで初年度の数字です。

テーマパーク事業は開業後数年かけてブランド力や口コミの蓄積によって集客が伸びていくケースも少なくありません。

桜美林大学の山口有次教授(テーマパーク論)は、「ジャングリアは数年に一度だけ沖縄を訪れるような観光客の需要を取り込むことが重要となる」と指摘しているとされ、短期的な数字だけで一喜一憂すべきではないという見方もできます。


【筆者の考察】赤字断定はまだ早い、しかし正念場はこれから

ここからは、テーマパークライターとしての筆者の率直な見解を述べさせていただきます。

まず申し上げたいのは、現時点で「赤字経営」と断定できる公式な決算情報は公開されていないということです。

株式会社刀は非上場企業であり、詳細な財務数値が外部から確認できる状況にはありません。

そのため、「赤字らしい」という噂の多くは、口コミやチケット価格、報道された建設コストの状況などから推測された、いわば「印象論」の域を出ていないというのが実情だと考えられます。

一方で、筆者として注目したいのは、単純な黒字・赤字という二元論だけでこのプロジェクトを評価するのは難しいという点です。

琉球銀行の融資額366億円、地元企業7割という株主構成を見ると、これは一企業の単独プロジェクトというより、沖縄本島北部の地域活性化を見据えた「地域プロジェクト」としての性格が強いと筆者は感じます。

322億円という経済効果、そして北部地域への周遊効果は、たとえジャングリア単体の収支が初年度に目標未達だったとしても、地域全体への波及という観点では確かな成果を上げていると言えるのではないでしょうか。

ここで、他の大型テーマパークの開業初期と比較してみたいと思います。

かつて森岡氏が携わったUSJも、開業直後は集客に苦戦し、経営再建までに数年を要した経緯があります。

またハウステンボスも、開業初期は投資規模に見合う集客を得られず、長年にわたり収支改善に取り組んできた歴史があります。

これらの事例を踏まえると、大規模テーマパークが開業1年目から目標来場者数を達成する方が、むしろ珍しいケースだと筆者は考えます。

森岡氏がUSJで実践してきたのは、開業直後の数字だけで判断せず、データに基づいてアトラクションやマーケティング施策を継続的に改善していく手法でした。

この「数字を見ながら磨き続ける」という戦略が、ジャングリアでも今後発揮されるかどうかが、今後の採算ラインへの到達を左右する鍵になると筆者はみています。

もちろん、6,930円という強気な価格設定を正当化し続けるには、「また行きたい」と思わせるリピート意欲の醸成が不可欠です。

美ら海水族館のようにすでに沖縄観光の定番となっている施設と肩を並べるには、まだ数年単位の時間が必要でしょう。

特に平日集客の底上げと、アトラクションの継続的な拡充は、今後の経営を占う大きなポイントになると筆者は見ています。

個人的には、開業1年目の実績だけで「失敗」あるいは「赤字」と決めつけるのは、いささか早計だと感じます。

北部地域という「これまで目玉施設が少なかったエリア」に新しい選択肢を生み出したこと自体、沖縄観光全体にとって価値のある一歩だったと筆者は考えます。


よくある質問

ジャングリア沖縄は本当に赤字なのですか?

現時点で公式な決算が公表されていないため、断定はできません。ただし来場者数が当初の目標である150万〜200万人にまだ届いていないとされる点は事実であり、今後の集客次第という段階にあります。

なぜチケットが美ら海水族館より高いのですか?

美ら海水族館の大人料金2,180円に対し、ジャングリアは6,930円です。アトラクション体験を提供する事業モデルであり、建設・運営コストの規模が異なることが要因の一つと考えられます。

平日は本当にガラガラなのですか?

クチコミを見ると、平日は比較的ゆったり楽しめたという声がある一方、休日は混雑しているという声も多く見られます。日によって状況が大きく異なるのが実情のようです。


まとめ

ジャングリア沖縄の「赤字」という噂は、高額なチケット価格や建設コスト高騰の報道、一部の「ガラガラ」というクチコミが背景にあると考えられますが、公式な赤字の発表は確認されていません。

開業半年間(2025年7月〜2026年1月)で322億円の経済効果、北部地域への周遊効果拡大といった明るいデータもある一方、開業1年(2026年7月時点)での来場者数は目標に届いていない可能性があり、正念場はこれからと言えそうです。

なお、本記事で紹介した各種統計は執筆時点で確認できた発表内容に基づくものです。最新の状況については、公式発表もあわせてご確認ください。

今後の集客動向やアトラクションの拡充に、引き続き注目していきたいところです。