和歌山県のアドベンチャーワールドに、コアラはいません。パンダやイルカで知られる人気施設ですが、コアラの飼育・展示は行われていないのが事実です。
「アドベンチャーワールド コアラ」で検索された方のために、この記事ではまず事実を整理し、そのうえで関西を含めて日本でコアラに実際に会える場所と、観覧を楽しむためのポイントを丁寧にご案内いたします。
アドベンチャーワールドにコアラはいる?まず知っておきたい事実
もう一度はっきりお伝えします。アドベンチャーワールドにコアラはいません。
アドベンチャーワールドは、ジャイアントパンダやバンドウイルカ、サファリエリアの肉食・草食動物などで広く愛されている施設です。公式情報によると約120種1600頭もの動物たちが暮らしていますが、その顔ぶれにコアラは含まれていません。
「南国の雰囲気がある施設だから、きっとコアラもいるだろう」と思って検索される方は少なくありません。けれども、コアラの飼育には特別な事情があり、どの施設でも気軽に迎えられる動物ではないのです。
筆者としては、この「いそうでいない」という感覚こそ、コアラという動物の難しさを物語っているように感じます。まずはその背景を知っていただくと、実際にコアラに会いに行くときの見方がぐっと深まりますよ。
なぜコアラがいる施設は限られるのか?
コアラに会える場所が少ない理由は、飼育にとても手間と費用がかかるからです。理由は大きく「餌」「病気」「歴史的な事情」の3つに分けられます。
餌:ユーカリしか食べない難しさ
最大の負担は、餌の確保です。コアラはユーカリの葉しか食べられません。多くの動物は種に合った固形飼料で育てられますが、コアラはそうはいかないのです。
ユーカリの栽培は難しく、枯れてしまうことも珍しくありません。そのため複数の農家に分散して委託し、大量に育ててもらう必要があります。
海外から新鮮な葉を輸入する場合もあり、報道などによればコアラ1頭あたりの餌代は月に約66万円にもなるとされています(金額は年次や施設により変動する前提の目安です)。

病気:感染症対策の重さ
さらにコアラは感染症にかかりやすい動物です。オーストラリアでは手に入りやすいワクチンも日本では入手が難しく、コアラを診られる獣医も多くありません。
病気を防ぐために徹底した衛生管理が欠かせず、ここにも大きな費用がかかります。こうした負担の重さから、日本でコアラに会える施設は年々減ってきました。
歴史:最盛期9園から現在へ
コアラが日本に初めてやってきたのは1984年10月25日のこと。東京の多摩動物公園、愛知の東山動植物園、鹿児島の平川動物公園に2頭ずつ到着し、大ブームを巻き起こしました。
その後、飼育する園は各地に広がり、最盛期には9園で96頭が飼育されていたとされます。しかし餌と医療のハードルを支えきれず、繁殖がうまくいかなかった園や、高齢化で頭数を維持できなくなった園が少しずつ飼育を終えていきました。
その結果、各園の公表値をもとにすると、2026年時点で会える施設は全国7カ所、飼育頭数は約50〜60頭ほどに落ち着いています(数値は流動的なため、最新は各園の公式発表でご確認ください)。
日本でコアラに会えるのはどこ?7つの施設を紹介
それでは、実際にコアラに会える貴重な7カ所をご案内します。アドベンチャーワールドのある関西にお住まいの方や、旅行の計画を立てている方の参考になれば幸いです。
| 施設名 | 所在地 | アクセスの目安 | 特色 |
|---|---|---|---|
| 埼玉県こども動物自然公園 | 埼玉県東松山市 | 東武東上線 高坂駅から徒歩またはバス | 赤ちゃんが毎年のように誕生 |
| 多摩動物公園 | 東京都日野市 | 京王線 多摩動物公園駅すぐ | 日本で最初に受け入れた園の一つ |
| 金沢動物園 | 神奈川県横浜市 | 京急・シーサイドライン+バス | オセアニア区でカンガルーも |
| 東山動植物園 | 愛知県名古屋市 | 地下鉄 東山公園駅・星ヶ丘駅から徒歩 | 東海地方で唯一会える |
| 神戸市立王子動物園 | 兵庫県神戸市 | 阪急 王子公園駅から徒歩 | 繁殖に力を入れる身近な園 |
| イングランドの丘 | 兵庫県南あわじ市 | 車でのアクセスが中心 | 南方系コアラが見られる唯一の施設 |
| 平川動物公園 | 鹿児島県鹿児島市 | 鹿児島中央駅からバス・車 | 国内最多クラスの飼育頭数 |
※アクセス・営業時間・展示状況は変わることがあります。お出かけ前に各施設の公式サイトで最新情報をご確認ください。
関西エリアで会えるのは、兵庫県の神戸市立王子動物園と、淡路島のイングランドの丘の2カ所です。アドベンチャーワールドから足を延ばすなら、この2施設が候補になります。
とくにイングランドの丘は、日本で唯一「南方系コアラ」を見られる場所です。コアラには南方系と北方系があり、他の6園はすべて北方系。南方系は北方系より一回り体が大きく、体毛が少し長めで黒っぽいのが特徴とされます。

繁殖は同じ系統同士でしかできないため、動物園はどちらか一方だけを飼育するのが一般的です。2種類の違いを見比べられるのは、全国でもここだけの貴重な体験といえます。
一方、鹿児島の平川動物公園は国内最多クラスの飼育頭数を誇り、他園へ繁殖のための貸し出しも行う、日本のコアラ飼育の要となる存在です。
コアラ観覧のポイントは?「食事の時間」を狙おう
コアラを楽しむ最大のコツは、ずばり「食事の時間」を狙うことです。
コアラは1日のうち、およそ20時間以上を眠って過ごすといわれます。これはユーカリが水分ばかりで栄養価がとても低く、しかも毒素の分解にエネルギーを使うため、動き回る余力がほとんどないからです。
つまり、ふらっと立ち寄っただけでは寝顔しか見られないことが多いのです。けれども、どの施設でもコアラは「食事の時間」になると動き出します。
動くコアラに出会うために、押さえておきたい点をまとめます。
- まず到着したら、園が公開している「食事の時間」を確認する
- その15〜30分ほど前にはコアラのいる場所へ向かう
- 前足の指は2本と3本に分かれ、握力が強く、鋭いカギヅメで木にしっかりつかまる体のつくりに注目する
- 木から木へ移るときに地上を走る姿は意外に俊敏で、見られたらとても幸運
また、赤ちゃんは生まれてから約6カ月は母親の袋(育児のう)の中で過ごします。子どもの姿が見えなくても、袋の中にそっと赤ちゃんがいるかもしれません。
寝顔だけを「残念」と思わず、その睡眠の長さ自体がコアラの生き方なのだと知って眺めると、見え方が変わってくるはずです。
筆者の考察・今後の見通し
ここからは、長年さまざまな施設を見てきた筆者としての私見を述べます。
アドベンチャーワールドにコアラがいないことを残念に感じる方もいらっしゃるでしょう。けれども個人的には、これは決して施設の魅力が劣るということではないと考えています。
むしろ注目すべきは、「なぜ会える園が減ったのか」という構造的な問題です。餌・医療のコストに加え、繁殖という壁が大きいと筆者は見ています。
というのも、現在の国内飼育は北方系に大きく偏っています。繁殖は同系統同士でしか成立しないため、頭数が少ない状態で特定の系統に偏ると、血縁が近くなりやすく、遺伝的多様性の維持が難しくなると考えられます。これは一園だけでは解決できない課題です。
加えて、コアラはオーストラリアにとって国を象徴する動物で、海外への移送には慎重な調整が必要とされます。新たに海外から迎え入れるハードルが高いことも、国内で一気に頭数を増やしにくい背景だと筆者は考えています。
だからこそ、国内7カ所が互いに個体を貸し借りし、系統を補い合いながら繁殖を続けている現状は、相当な努力の上に成り立っていると感じます。単なる「展示」ではなく、種をつなぐネットワークとしての動物園の姿がそこにあります。
今後の見通しとしては、こうした系統や輸送の制約がある以上、会える施設が急に増えることは考えにくいでしょう。だからこそ、今会える一頭一頭が、とても大切な存在だと筆者は考えています。月66万円という餌代の数字を知ってから見る寝顔は、きっと違って見えるはずです。
まとめ
アドベンチャーワールドにコアラはいません。パンダやイルカで知られる施設ですが、コアラの飼育・展示は行われていないのが事実です。
日本でコアラに会えるのは全国7カ所。関西では神戸市立王子動物園と淡路島のイングランドの丘で会えます。観覧のコツは「食事の時間」を狙うこと。
寝顔だけでなく、動くコアラや体の特徴、そして種をつなぐ飼育の背景まで知っておくと、休日の思い出がより豊かな物語になるはずです。
よくある質問
アドベンチャーワールドにコアラはいますか?
いません。アドベンチャーワールドはパンダやイルカで知られる施設で、コアラの飼育・展示は行われていません。
関西でコアラに会えるのはどこですか?
兵庫県の神戸市立王子動物園と、淡路島のイングランドの丘の2カ所です。イングランドの丘では国内で唯一、南方系コアラも見られます。
コアラの餌代はなぜ高いのですか?
コアラはユーカリの葉しか食べられず、栽培や輸入に手間がかかるためです。報道などでは1頭あたり月約66万円とされますが、年次や施設で変動する目安です。
コアラを起きている状態で見るにはどうすればいいですか?
コアラは1日の大半を眠って過ごすため、各施設が公開している「食事の時間」を狙うのがおすすめです。その15〜30分前に向かうと動く姿に出会いやすくなります。


