初めまして、テーマパークライターの夢咲未来と申します。
ジャングリア沖縄の初年度来場者は約100万人で、当初目標の150万人には大きく届かず、親会社は約173億円の最終赤字を計上しました。結論から申し上げれば、「数字は立派でも、期待との差で厳しく見られている」というのが実情です。
2024年7月に沖縄本島北部の今帰仁村・名護市にまたがる広大なやんばるの地にオープンした大型テーマパーク「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)」。華々しい期待とともに迎えられたこの施設が、初年度に何を残したのか。そして「100万人」という数字が本当に意味するものは何なのか。
長年、全国の遊園地やテーマパークを自分の足で訪ね歩いてきた一人の愛好家として、公表されている事実をていねいに整理しながら、ゆっくりとひも解いてまいります。
そもそもジャングリア沖縄とはどんな施設?料金・アトラクション・コンセプト
結論から申し上げると、ジャングリア沖縄は「やんばるの大自然そのものを舞台にした、恐竜と冒険の非日常体験」を掲げる大型テーマパークです。
運営の発表によると、施設は「Power Vacance(パワーバカンス)」というコンセプトを掲げています。手つかずの森や起伏のある地形をそのまま生かし、恐竜をテーマにしたサファリ型のアトラクションや、上空へと昇る気球型の体験、広大なスパエリアなどを備えているとされています。
東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンのような「人工的に作り込んだ世界」とは、少し発想が異なります。沖縄のやんばるという「本物の自然」を主役に据えた点に、この施設ならではの個性があると私は受け止めています。
一方で、開業前から話題になったのが入場料金です。報道によれば、大人のチケットはおおむね6000〜8000円台の水準とされ、県民向けと県外・海外からの来場者向けで価格に差を設ける仕組みも注目を集めました。
テーマパークの料金としては決して安くはない設定で、この「価格の割高感」が後の集客を語るうえで一つの焦点になっていきます。
なお、料金やアトラクションの内容、営業情報は変動する前提のものですので、計画される際は必ず公式の最新情報をご確認くださいね。
ジャングリア沖縄の来場者数100万人とは?まず結論から
いちばん気になる数字から順番にお伝えします。結論は「約100万人で、目標150万人には届かなかった」です。
ジャングリア沖縄が開業してからの1年間、つまり2024年7月から2025年7月までの来場者数は、報道各社が伝えるところによると延べ約100万人でした。
これは運営会社が当初見込んでいた「150万人」を大きく下回る結果です。1日あたりに直すと約2700人の計算ですが、来場者が1000人程度にとどまる日も少なくなかったと報じられています。
売り上げそのものは100億円を超える見通しだと発表されており、金額だけを見れば小さな数字ではありません。
ここで一つ、数字を読み解いてみますね。来場100万人で売上100億円超ということは、単純計算で来場者1人あたりおよそ1万円を使っている計算になります。

入場料に飲食やグッズを加えれば、客単価そのものは健闘していると読むこともできます。つまり「来てくれた人はしっかり楽しんでお金を使っている。けれど、来る人の数が想定に届かなかった」という構図なのです。
運営会社「ジャパンエンターテイメント」の加藤健史代表取締役CEOは「残念ながら、思うような数字に至らないという結果になっております」と、率直に心境を語っています。
経営の責任者自らが「残念」という言葉を選んだこと。ここに、100万人という数字の受け止められ方が、素直ににじみ出ているように私は感じます。
なぜ「100万人」で赤字173億円に?ジャングリア沖縄の決算を整理
結論を先に申し上げると、赤字の大半は現金が出ていく損ではなく「株式評価損」という会計上の処理によるものです。
ジャングリア沖縄の運営会社の親会社にあたる「ジャパンエンターテイメントホールディングス(JEHD)」は、開業後初となる2026年6月期の決算で、約173億円の最終赤字を計上しました。この内容は、2026年9月に那覇市内で開かれた株主総会で株主に説明されたと報じられています。
少しむずかしい言葉が続きますので、主な数字を整理しますね。
- JEHD(親会社)の最終赤字:約173億円(2026年6月期)
- 運営会社JE単体の最終赤字:約89億円
- JEの開業前・前期(2025年6月期)の純損益:約50億9800万円の赤字
173億円の主因とされる「株式評価損」とは、保有する子会社の株式の価値が当初の見込みより下がったと判断し、その目減り分を損失として帳簿に反映させる会計処理のことです。
つまり、開業前から赤字、そして開業初年度もさらに大きな赤字という流れが続いています。
これは単に「初年度の来場者が少し足りなかった」という話ではなく、事業としての採算ラインに、まだ遠く届いていないことを意味していると考えられます。
ジャングリア沖縄はなぜ失敗と言われる?150万人に届かなかった背景
結論として、理由は一つではなく「高すぎた期待」と「開業直後のつまずき」が重なったものだと私は見ています。
もともとジャングリア沖縄は、沖縄観光の新しい目玉として、たいへん大きな期待を背負ってスタートしました。施設の建設にあたっては、約700億円という巨額の資金調達が行われたと報じられています。
報道によれば、この資金調達の過程ではメガバンクが離脱し、最終的に地元の地方銀行が主導して、県外の銀行も協力する形になったとされています。人の面でも、全国から数千人規模の採用が行われ、ブライダル業界や教員の出身者なども集まったと伝えられています。
これだけの規模で準備された施設ですから、「150万人」という目標が、いかに意欲的なものだったかがうかがえます。
一方で、開業直後にはいくつかの課題も指摘されました。沖縄県内のあるメディア関係者は、開業直後に生じた長時間の待ち時間やオペレーションの混乱がSNSを通じて広がり、初期のブランド形成に影響を与えたのかもしれない、という趣旨の見方を示しています。
テーマパークにとって、開業したばかりの時期の体験は、そのまま口コミとなって広がっていきます。最初の印象がその後の集客を左右する、とても大切な時期なのですね。

「沖縄は遠い」は本当の理由か?美ら海水族館361万人との比較
結論から言えば、「遠いから」だけでは100万人という数字は説明しきれません。
ジャングリア沖縄が伸び悩んだ理由として、よく「沖縄北部で遠いから」という声が聞かれます。けれども、ここには少し立ち止まって考えたい点があります。
同じ沖縄本島北部には、有名な「沖縄美ら海水族館」があります。沖縄県側の集計では、この水族館の近年の年間入館者数は360万人を超える水準で推移しているとされています。
那覇の市街地から見ると、美ら海水族館はジャングリアよりもさらに“奥”に位置しています。それでも年間360万人を超える方々が足を運んでいるのです。
つまり、「遠いから人が来ない」という説明だけでは、100万人という数字を十分に語りきれません。
立地の不利は確かにあるかもしれません。けれども、同じエリアに年間360万人超を集める施設が現に存在している以上、距離だけを理由にするのはむずかしい、と私は受け止めています。
ここから見えてくるのは、「どこにあるか」以上に、「わざわざ足を運びたくなる理由をどれだけ作れているか」という、テーマパークの本質的な課題ではないでしょうか。
350万人でも「失敗」とされた沖縄海洋博との不思議な共通点
結論として、沖縄では半世紀前にも「数字は大きいのに失敗と呼ばれた」出来事があり、評価の構図がよく似ています。
1975年に開かれた「沖縄国際海洋博覧会(沖縄海洋博)」です。この海洋博は、半年間でおよそ350万人を集めました。数字だけを見れば、たいへんな賑わいに思えます。
ところが当時、この海洋博は「失敗」と受け止められてしまいました。想定していた期待値や、地元経済への波及に対して、結果が見合わないと評価されたためです。
そして現在、その海洋博が開かれた海洋博公園の中にある美ら海水族館が、沖縄観光の大黒柱になっている――。これもまた、時間の流れを感じさせる話ですね。
ジャングリア沖縄の「100万人なのに残念」という評価と、海洋博の「350万人でも失敗」という評価。数字の大小そのものより、「どれだけ期待されていたか」との差で成否が語られる。この構図は、半世紀を経ても変わっていないのかもしれません。
考察・今後の見通し:ジャングリア沖縄は100万人の先へ行けるか
ここからは、長年テーマパークを見つめてきた一人の書き手としての、率直な私見を述べさせていただきます。
まず筆者として感じるのは、初年度100万人という数字は、「地方の大型レジャー施設」として単独で見れば、必ずしも小さくはないということです。問題は、巨額の投資と高い目標に釣り合っていない点にあると考えられます。
そのうえで、公表情報や報じられてきた来場者の声から読み取る限り、私が気になっているのは「価格と体験の釣り合い」です。
6000〜8000円台という料金は、やんばるの自然を存分に味わえる一日としては妥当という見方もできます。けれども、開業直後に待ち時間や運営の混乱が重なると、「この金額に見合った一日だった」と感じにくくなります。個人的には、ここが初期の口コミを冷やした一因ではないかと見ています。
もう一つ注目したいのが、この施設を主導したのが、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの復活を手がけたことで知られるマーケターの森岡毅氏だという点です。
数字に基づいて需要を読み解く手腕で知られる方が率いている以上、価格設定もアトラクション構成も、綿密な計算の上に組まれているはずです。だからこそ私は、初年度の未達を「見込み違い」で片づけず、2年目以降にどう修正してくるかを冷静に見たいと考えています。
明るい材料もあります。同じエリアの美ら海水族館が年間360万人超を集めている事実は、「沖縄北部には、それだけの人を呼べる土壌がある」ことの証でもあります。立地そのものが致命的なのではなく、理由さえ作れれば人は来る、と前向きに読むこともできます。
一方で気がかりなのも事実です。報道では、同じ運営グループが手がけた「イマーシブ・フォート東京」が、開館からわずか2年ほどで2027年2月末に閉館する予定だと伝えられています。大型の体験型施設が短期間で厳しい判断を迫られる例が続いていることは、業界全体の難しさを映しているように思えます。
ジャングリア沖縄について加藤CEOは、顧客へのサービス提供や、企業との契約・取引に影響が生じることはなく、今後も変わらず運営を継続していくとコメントしています。ですから、ただちに運営が立ち行かなくなるという話ではありません。むしろここからが、本当の意味での正念場だと筆者は見ています。

では、年間100万人の先へ――たとえば目標の150万人へ到達できるのか。正直に申し上げれば、現時点では「簡単ではないが、不可能でもない」というのが私の見立てです。
リピーターを生む体験の質の向上、価格に見合う満足感の設計、県外・海外からの誘客の工夫、そして開業直後の負のイメージをていねいに塗り替えていく地道な努力。この積み重ねができるかどうかに、未来はかかっていると感じます。
よくある質問
ジャングリア沖縄の初年度の来場者数は何人でしたか?
開業からの1年間(2024年7月〜2025年7月)で、延べ約100万人だったと報じられています。当初見込んでいた150万人を大きく下回り、1日あたりでは約2700人、1000人程度にとどまる日も少なくなかったとされています。
ジャングリア沖縄の親会社はなぜ173億円もの赤字になったのですか?
親会社ジャパンエンターテイメントホールディングスの2026年6月期決算で、約173億円の最終赤字が計上されました。主な要因は、運営子会社の株式の価値が見込みより下がったと判断したことによる「株式評価損」という会計処理です。運営会社自体の最終赤字も約89億円にのぼったとされています。
ジャングリア沖縄はどんなことが体験できる施設ですか?
やんばるの大自然を舞台に、恐竜をテーマにしたサファリ型アトラクションや気球型の体験、広大なスパエリアなどを備えた大型テーマパークとされています。人工的に作り込んだ世界ではなく「本物の自然」を主役にした点が特徴です。最新のアトラクションや料金は公式サイトでご確認ください。
ジャングリア沖縄はこのまま運営を続けられるのですか?
運営会社の加藤健史CEOは、顧客へのサービスや各種契約・取引に影響は生じず、今後も変わらず運営を継続していくとコメントしています。ただし初年度から大きな赤字が続いており、抜本的な経営のてこ入れが課題になると考えられます。
まとめ
ジャングリア沖縄の初年度来場者数は、当初目標150万人に対して約100万人にとどまり、親会社は約173億円の最終赤字を計上しました。
「遠いから」という説明だけでは語りきれないことは、同じ沖縄北部で年間360万人超を集める美ら海水族館が示しています。かつて350万人を集めても「失敗」とされた沖縄海洋博とも重なるように、数字は期待との差で評価されるのですね。
やんばるの自然と恐竜という独自のコンセプト、そしてUSJ復活を手がけた森岡毅氏の手腕という土台は確かにあります。年間100万人の先へ届くかどうかは、価格に見合う体験を育て、開業直後のつまずきをていねいに取り戻せるか。そこに、この施設の本当の現実味がかかっていると、筆者は見守っています。


